不整脈とは
皆さんは運動したあと、胸がドキドキすることを感じると思います。では安静時に突然ドキドキしたらどうでしょうか?あるいは1日じゅうドキドキしたら?そしてそれが命に関わる可能性があるとしたら、とても不安になると思います。これが不整脈の症状です。原因は心臓の脈が速すぎるか(頻脈)、あるいは遅すぎる(徐脈)ためなのです。この10数年で不整脈の治療は大きく進歩しました。当院では不整脈の治療を次の順で進めていきます。
不整脈治療の内容
- 経過観察:
まず、心臓の機能と不整脈の重症度を調べます。心臓の機能が良好で危険のない不整脈は治療しなくても良いので、年に1-2回の検査のみで経過観察します。
- 薬物治療:
次に、症状を伴う不整脈については薬で治療します。薬にはたくさんの種類があり、ひとりひとりの体に合った薬を最も体に合った量で使用します。これまで治療困難であった重症の不整脈にはアミオダロンなどの新しい不整脈の薬が使用できるようになりました。薬は継続することが重要です。薬の効果やまれにおこる副作用については定期的診察で確認します。
- カテーテル治療:
残念ながら一部の不整脈は薬物では十分にコントロールできません。そこでそのような患者さんにはカテーテル治療を行います。カテーテルとは直径2-3mmの細い管のことです。まず足の付け根や首の付け根の太い血管に針を刺してカテーテルを血管内に入れて、心臓内部に進めます。次にカテーテル先端を心臓内部の不整脈を起こす悪い部分に当てて先端から高周波を流します。するとカテーテル先端周囲5mmを60度に熱する事ができ、不整脈の原因部位をメスで切ったように退治することができます。これをカテーテルアブレーション(カテーテル心筋焼灼術)と言います。最近多くの患者さんに施行されるようになりました。
- 植え込み型デバイス治療:
脈の遅すぎる患者さんで、薬物が十分に効かない方にはペースメーカを使った治療を行います。ペースメーカ治療では心臓を刺激する機械を体の中に植え込みます。植え込み手術は短時間ですので高齢者でも安全に行うことができます。一方、脈の速すぎる患者さんで、薬物やカテーテルアブレーションでも十分な効果の期待できない場合には植え込み型除細動器(ICD)を使った治療を行います。植え込み型除細動器はペースメーカに、電気ショックを使って危険な不整脈を治療する機能を加えたものです。
不整脈はひとりひとり個性があり、画一的な治療はできません。
当院では以上のような治療法を用いて患者さんに最適な不整脈の治療を進めて参ります。