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医療情報管理室紹介

医療情報管理室長(兼) 太田原 顕 (高血圧内科部長)

特 徴

 この領域での今年のトピックと言えば徳島県の半田病院で発生した電子カルテが2か月間使用できなくなった事故(ランサムウェアウィルスによるシステム攻撃)を挙げたいと思います。大きな事故でしたが四国のことでしたから、まさに対岸の火事と思われている方も多かったかもしれません。しかし事故調査の結果、電子カルテに内在する大きな問題が指摘されています。厚労省もこの事例を受けて中小病院の医療情報管理の重要性に警鐘を鳴らし、対策を取るように指導しています。私たちの管理室でもこのニュースや情報を収集し、院内に向けての注意喚起を含めた職員教育、物品管理の強化などの対策に取り組んでいます。様々な分野でインターネット社会となり、電子カルテシステム(部門システムを含む)のメンテナンスに外部インターネット接続は欠かせないツールとなっていることを多くの方にご理解いただき、対応に役立てていただきたいという思いからです。
 当院は2008年4月から各部門システムを統合していく形で順次電子カルテを導入しましたが、再来年度3回目の電子カルテ更新を迎えます。通常、システムの導入や更新は定期的に行われます。これは古いシステムそのものが時代のニーズに応えられなくなり、機能面での追加や拡張が必要となってくるからです。たとえば診療報酬改定やマイナンバーカード導入のように制度が変われば、新たな入力や処理が必要となってシステム更新を行わなければなりません。また、ハードウェアの更新を行う状況でも、新たなデバイスへの対応などでシステムの変更が必要となってきます。つまり、システムは時の制度を含む環境や利用可能な装置の進化に対応する必要があります。これらにどれだけの予算を掛けられるかは機構本部を含む組織内財務担当者の理解が重要で、「金食い虫」と言われながらも協力をお願いしています。
 院内の医療情報システムは大きく2つの領域に区分されます。一つは診療録をはじめとする様々な業務系システムです。もう一つはインターネットに直接接続する情報系システムです。業務系では安全確実な管理が法的にも求められており、患者のプライバシーの確保や情報セキュリティの維持継続が重要です。当院では利便性とセキュリティのバランスを損なわない運用と改善に日々取り組んでいます。多くの部門や部署と運用の変更などを検討して、予算の範囲内で効率よい診療支援ができるシステム構築を行なっています。さらに地域の中核病院としての役割が果たせるように県周産期ネットワークシステム利用やおしどりネットでの情報提供病院としての参加、鳥取県西部地区Web予約システムへの参加構想などの地域連携に向けた活動も行なっています。
 この業務系システムと次に述べる情報系の中間ともいえるインターネットを利用した業務連絡システムが近年注目されています。これは業務系で使用される患者情報などの要配慮個人情報などをどのようなツールを利用してインターネットで取り扱うかという点で学会などでもいろいろと議論されてまいりました。当院では2022年5月に「院内業務に関わるSNS利用規程」を定め、秩序ある利用を進めて情報化に対応していく方針となりました。
 もう一つのシステムである情報系システムではセキュリティ向上のため、端末の一元管理やウイルス対策および異常動作の監視などを行っています。また、2021年12月より機構本部によるインターネット一元化計画に沿って、よりセキュアな環境を整備しています。新棟においては患者サービスの一環として無線でのWi-Fi環境を提供していますが、こちらも安全で繋がりやすい環境を維持するためSNS認証を取り入れています。一般的にセキュリティと利便性はトレードオフの関係にあり、利用対象者・回線密度など考慮しながらいかにバランスを取るのかが重要な判断とされます。簡単に接続できるけれど混雑して使えない公衆Wi-Fi環境はサービスに値しないと考えているためです。
 このように医療情報管理室は電子カルテシステムの運用管理・メンテナンスを行うとともに、ネットワークの整備・運用、院外への広報・管理といった院内のあらゆる情報システムツールの技術支援を行う部署として、病院の底支えを担っております。しかしながら、医療分野での情報利用環境はまだまだ立ち遅れています。その理由は様々ですが、医療界独特の多様性(非標準化)意識、利用者と技術者をつなぐ人材不足、一般社会での認知不足などが指摘されています。昨今デジタルトランスフォーメーションやSociety 5.0といって未来志向の宣伝文句が花盛りですが、まず基本となるSociety 4.0(情報社会)がきちんと医療分野で確立されることが重要で、未だに電子カルテベンダーでもそういったコンセプトが少ししか感じられるようなレベルに過ぎません。こうした思いで、地に足の着いた医療情報を目指して現地・現物・現実に即した環境を院内外で構築できるよう、支援スタッフと共に日々活動をしているのが現状です。日ごろからご協力いただいている皆様への感謝とともに、今後も皆様方のご支援をよろしくお願いいたします。

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