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DPCについて詳細説明

DPC導入の背景

医療行政の目的は質の高い医療サービスの提供にあります。そのためには、 医療サービスの質を経済的側面と臨床的側面から評価する指標が必要となりました。そこで米国では、DRG(Diagnosis Related Group)を、日本では、DPC(Diagnosis(診断)Procedure (手技) Combination (組み合わせ))が導入されました。従ってDPCが目指すものは、医療情報の標準化、医療情報の透明化(医療の質の評価と経営の質の評価)そして医療供給体制の健全な発展にあります。

DPC導入の経緯

このDPC(診断群分類包括評価制度)という新しい制度は平成15年度から大学病院や国立病院などの高度先進医療を行っている特定機能病院などで試行的に実施されていました。平成21年の診療報酬改定では厚生労働省のDPCに関する調査に2年以上協力してきた医療機関のうち一定の基準を満たした病院が、DPC対象病院としてこの制度の適用が認められ、本院も平成21年4月1日より、このDPC(診断群分類包括評価制度)を導入することとなりました。

DPCとは

DPCは、本来は診断群(病名)の分類方法を意味しますが、診断群分類を用いた新しい「包括支払制度」全体のことを指すのが一般的です。この新しい入院費用の計算方法は、従来の「出来高払い方式」とは異なり、患者の病気や病態をもとに、手術や処置などの内容に応じて診断群分類ごとに定められた1日当たりの定額の点数(包括点数)を基本に医療費を計算する方式です。実際の医療費はこの包括点数に、後で述べるドクターフィー的な要素である手術・麻酔などの「出来高払い」の点数を加算して決められます。

診断群分類とは

米国で開発された診断群分類はDRGと呼ばれています。DRGには資源消費の均質性という特徴があり、1983年、米国において、メディケアの入院医療費の支払方法として診断群分類ごとの包括支払い方式が採用されました。これをDRG/PPSといいます。1996年、日本でも診断群分類をベースとした定額制の方向が示され、1998年に急性期入院医療費の定額支払い方式の試行事業(日本版 DRG/PPS)が開始されました。その後2003年にこの診断群の考え方を踏襲して誕生したのがDPC包括支払いです。診断群分類とは、患者ごとに傷病名や年齢、意識障害レベル(JCS)、手術、処置の有無などの治療行為を組み合わせたもので14桁のコードで示されます。DPCはあくまで診断群分類を意味しており、包括支払い制度を意味するものではありません。

DPCによる入院費の算定方式

2008年4月改定におけるDPCの分類項目は2,451分類ですが、包括評価対象となる診断群分類は1,572分類であり,これに該当しない患者さまは従来どおりの出来高払いとなります。包括評価の範囲は、主にホスピタルフィー的要素(入院基本料・検査・画像診断・投薬・注射・1,000点未満の処置などの施設報酬)であり、ドクターフィー的要素(手術料・麻酔料・1,000点以上の処置などの医療技術料)は対象外となり、従来と同様に「出来高払い方式」で算定されます。従来の点数にあてはめてみると、DPCの対象となる入院患者さまに算定できる診療報酬の約7割が包括範囲に含まれています。(あくまでも全体の平均であり、手術等の無い入院の場合には包括部分が9割を超す場合や、短期の手術目的での入院では包括部分が1割未満の場合があります)。

包括部分の計算式

包括部分の費用=診断群分類毎の1日の包括評価点数×入院日数×医療機関別係数×10円
※医療機関別係数とは、病院の機能に応じて病院ごとに定められている係数です。山陰労災病院は1.0663です。

医療費定額支払制度の利点

医療費の定額支払い制度は、患者が何の病気であったか(診断群分類)によって診療報酬が決まる制度です。これまでの出来高払い制度が、治療にどれだけの費用が掛かったかで報酬が決まっていたのと対照的な制度であり、様々な利益が期待されています。
第一に患者さまへの利益として、無駄な医療の削減が期待されています。これまでの出来高払いでは行った医療行為が多ければ多いほど医療報酬が増えるため、回復への最短治療を行った医療者へは支払いが減り、回復を長引かせた医療者への支払いが増えると言う矛盾がありました。この制度では患者さまと医療者の利害が一致しておらず、利害の溝を埋める事は医療者の人格と能力に全て任せられていました。一方医療費の定額支払い制度では、最初から診断結果に対する診療報酬が決められていて、実際に掛かった医療費は後から経費として差し引かれます。そのため、回復への最短治療を行った医療者においては、診療報酬から治療に掛かった費用を差し引いた額だけ利益が発生します。逆に回復を長引かせた医療者においては、治療に掛かった費用が診療報酬の上限額を超えてしまい、その額だけ損失が発生します。このような形で患者さまと医療者の利害が一致し、無駄な医療が行われなくなると同時に、最適な医療を行う能力が医療者に求められる仕組みとなる事が期待されています。
 
第二に医療者への利益として、従来の診療では採算割れの傾向が強かった急性期病院は経営的安定が確保できるほか、患者さまの属性・病態や診療行為ごとの医療費情報が標準化されるため、経営的・技術的側面から医療の質を評価・比較可能であると注目されています。
 
第三に行政への利益として、医療サービスが標準化する結果、医療費抑制が実現されることも期待されています。

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